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「銀行業務検定」必勝学習法バイブル!


このページをご覧頂きありがとうございます。

このシリーズでは、フツーの中高年銀行員である私が、自分なりの無理のない勉強法を実行し、2018年、銀行業務検定で連続して上位入賞したプロセスから、その秘訣をお伝えします。

お読み頂いたあなたの学習の参考になれば幸いです。


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本記事執筆時の2019年9月10日、第144回「銀行業務検定」(2019.10.27)の申込受付が締切となりました。受験のみなさん頑張って下さい!

さて、今回の試験の出題で気になるところが「法改正関係」の出題ではないでしょうか? 

特に今回「相続アドバイザー3級」を受験される方は、例年の「税制改正」の相続・贈与部分の改正に加え、「民法(相続法)改正」の出題への対応も必要になり大変なところかと思います。

今回は、第144回「銀行業務検定」の「相続アドバイザー3級」「事業承継アドバイザー3級」等を受験の方向けに相続法改正関連のポイントについて投稿します。


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相続法改正の骨子と施行日

相続法改正施行日


上表が今般の民法(相続法)改正の骨子と施行日の一覧です。

2019.7.1までに大半の項目が施行されており、今後は2020.4.1に配偶者(短期)居住権、2020.7.10に遺言書保管法が施行される予定です。


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施行日から見た出題範囲

では、今回の第144回「銀行業務検定」においての出題範囲はどうなるのでしょうか?

「銀行業務検定」の「法令基準日」は試験日現在施行が基準となっています。

従って、上表から見て明らかなように、今回の出題範囲は「配偶者(短期)居住権と遺言書保管制度」以外の部分という事になり、表の施行日でグレー、緑色で塗りつぶしている部分が該当します。

ほとんどが出題範囲となりますが、最も難解な「配偶者居住権」は出題範囲とならないのは幸いかもしれません。

なお、前回「相続アドバイザー」試験で施行前の「配偶者居住権」が出題されましたが、後に出題範囲ミスと訂正のうえ全員正解となりました。


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各分野の出題ポイント

ここから各分野の出題ポイントを私なりに列記していきます。必要により随時見直していきます。

<自筆証書遺言の方式緩和(遺言)>

  • 自筆証書遺言は「全文、日付、氏名を自書、押印」が必要→「財産目録部分」に限り自書不要になった!
  • 当該「財産目録」は、パソコン作成、通帳証書コピー、不動産登記事項証明書等のコピーでも可
  • 「財産目録」には署名押印が必要。裏面記載の場合、裏面にも署名押印要。
  • 「財産目録」を含め、遺言書全般に契印は不要(参考)。
  • 方式緩和は施行日(2019.1.13)以降に作成された遺言にのみ有効

<遺言執行者の権限の明確化(遺言)>

  • 遺言執行者による相続人に対する任務開始の通知義務が明文化された。
  • 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行う事ができる事が明文化された。
  • 遺言執行者の復任権は、原則不可から原則可に変更された。

<仮払制度の創設・要件明確化(遺産分割)>

  • 最高裁の預貯金債権の取扱いに関する判例変更を踏まえた見直し。
  • 制度が2つ設けられ、「家庭裁判所の判断を経ずに払戻しが得られる制度(仮払制度)の創設」と「家庭裁判所の現行の預貯金債権の仮分割の仮処分要件緩和」がある。
  • 仮払制度は、口座毎に法定相続割合の1/3が上限とされる。
  • 仮払制度は更に、法務省令により金融機関毎の上限が定められ、150万円となった。
  • 仮払制度の算定基準は、原則として相続開始時の額で算定すればよい。
  • これらの制度とは別に、各金融機関において「便宜払い」の基準を規定している場合があり、一定の基準に該当すれば、単独での払戻しや解約を認めている。(参考)

<配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)(遺産分割)>

  • 婚姻期間20年以上の夫婦間での居住用不動産の遺贈・贈与は「持戻し免除の意思表示を推定」し、原則として特別受益とはせず、遺産分割の対象としなくてよい、事となった。
  • なお、「持戻し免除の意思表示」は従前から存在する規定であり、遺言等で意思表示すればよく、本件対象以外の遺贈・贈与を「持ち戻し免除」と意思表示し、遺産分割対象外とする事は可能。(参考)

<遺産分割前に財産を処分した場合の遺産の範囲(遺産分割)>

  • 従前民法では、遺産分割前の財産処分に対しては、不法行為にもとづく損害賠償や不当利得返還請求などの民事訴訟で対応する必要があった。
  • 但し、現行実務では、共同相続人の同意があれば、処分済の財産があったものとみなして遺産分割を取扱っており、これを明文化したものが906条の2の1項である。
  • 更に906条の2の2項により、この同意を必要とする共同相続人から、当該財産を処分した共同相続人を除外している。
  • これらにより、遺産分割前に所属分された相続財産は、当該処分した相続人以外の共同相続人全員の同意で遺産分割時に存在するものとみなす(つまり遺産分割対象に含める)ことができる事となった。

<遺留分制度の見直し>

  • 改正により遺留分が物件的効果から金銭債権化され、「遺留分減殺請求権」は「遺留分侵害請求権」に改められた。
  • 従前は遺留分権利者が権利行使をすると、遺贈・贈与の目的財産について遺留分権利者と受贈者等との共有状態が生じてしまう点が問題であった。
  • 従前は遺贈や贈与を一部無効にして、物で返す(共有にする)というものであったが、改正後は、遺贈や贈与自体は全部一応有効なものとして取扱ったうえで、金銭的に解決するというものになった。
  • 従前の「価額弁償」という制度との違いは、「価額弁償」は共有状態解消が目的にあるため、評価の基準時点が変動し不安定であったが、改正後は金銭債権化されたため、相続開始時の額を基準として確定する、という点に違いがある。
  • 遺留分に算定する贈与については、第三者に対するものは相続開始前1年以内(変更なし)、相続人に対する贈与(特別受益)は同10年以内(従前は無制限)に制限された。
  • 遺留分が金銭債権化された事で、遺留分を侵害する贈与も、後に無効となる不安定は解消された。
  • 受遺者又は受贈者は、遺贈又は贈与の目的の価額(自身の遺留分控除後)を限度として遺留分侵害額を負担する。
  • 遺留分侵害額は、受遺者と受贈者があるときは、受遺者が先に負担する。
  • 複数の遺贈があるときは、各受遺者はその目的の価額の割合に応じて負担する。但し、遺言に別段の意思表示がある場合はこれに従う。
  • 同時に複数の贈与がある場合は、各受遺者はその目的の価額の割合に応じて負担する。但し遺言に別段の意思表示がある場合はこれに従う。
  • 受贈者が複数あるときは、後の贈与に係る受贈者から負担する。
  • 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があった事を知った時から1年間行使しないときには、時効によって消滅する相続の時から、10年を経過したときも同様とする。

<相続の効力等に関する見直し>

  • 従前は相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記等の対抗要件なくして第三者に対抗できるとされていた。
  • 改正により、法定相続分を超える部分の権利の承継については、対抗要件を具備しなければ第三者に対抗することができない事となった
  • これが債権である場合、債権譲渡の場合と同様に、従前債権者(=被相続人=相続人全員)から債務者への通知が必要と考えられるが、これを相続分を超えて承継したもののみから、遺言内容や遺産分割内容を明らかにして通知すれば、共同相続人全員から通知したとみなされる事とされた。

<相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)>

  • 相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件の下で、相続人に対して金銭請求をする事ができる制度(特別の寄与)。
  • 民法1050条による「特別の寄与」とは、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加を図る行為である。
  • 民法1050条による「特別寄与者」とは、特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続放棄者、相続欠格者、相続廃除者を除く)である。
  • 「特別寄与者」は、相続開始後、相続人に対し、特別の寄与に応じた額である「特別寄与料」を請求できる。
  • 特別の寄与の協議が整わない場合等には、特別寄与者は、家庭裁判所に対し協議に代わる処分を請求できる。ただし、特別寄与者が相続開始及び及び相続開始を知ったときから6カ月を経過したとき、又は相続開始から1年を経過したときはこの限りではない。
  • 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始時に有した財産の価額から遺贈(ここでは相続人以外のへのもの)の価額を控除した残額を超えることができない。
  • 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に法定相続割合等により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。
  • 特別寄与者は、全員に均等に請求する必要はなく、例えば自分の夫には請求しない事も可。ただし、その分を他の相続人には請求できない。
  • 従前からの「寄与分」は遺産分割協議の中で協議する内容であるが、「特別の寄与」を行った特別寄与者は遺産分割には参加できない。
  • 「特別の寄与」は寄与分と違い、「無償の労務の提供」に限られている。
  • 特別寄与者は、相続人等でない親族(6親等内の血族または3親等内の姻族と配偶者)に限られる。
  • 例えば、被相続人の子のパートナーであっても事実婚や同性婚のパートナーは特別寄与者にはあたらない。

    以上です。



あなたが銀行業務検定で上位入賞するお役に立てますように。

北河内 学(きたかわち まなぶ)


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